『アヤには少しだけ黙っててもらえる?』
私の返事を聞いたシュウさんは、電話の向こうで少しだけ声のトーンを落としていた。
どうしてなのか聞けなかった。
元カノ絡みなんだって気付いたから。
そう言われた訳じゃないけど
女の勘?
だって……
アヤ先輩とは同じ部署の同僚だって事を、シュウさんはちゃんと分かってる。
分かってるからこそ、口止めされた。
思い当たる事といえば?
当然……
元カノしかない訳だ。
だけど、シュウさんは私がタエさんの事を知ってるなんて知らないから。
私は分かりましたと返事をするしかなかった。