アイツの事を知ってたからなんだねと言って溜め息をついた。





『好きになったケイじゃなくなっていく』





その言葉が深く刺さる。



もう好きじゃないって事?


向き合うのが遅かった?


もう……



手遅れ?



エレベーターホールで見た表情を思い出して。


ハンカチを握る指先が小刻みに震える。



「言い訳になる部分もあるかもしれないけど、俺も話していい?」


「……うん」



泣かないように歯を食いしばる。



ここで泣いたらダメだ。


シュウさんは何も話してくれなくなる。



爪が色を失うぐらいハンカチを強く握りしめて。



シュウさんからの言葉を待った……