目覚めた場所。

そこは知らない場所。

けど、鼻に掠める薬品の香りや辺りを見渡せば、病院だとわかる。

…そうか。

俺、刺されたんだよな。

微かに痛む腹に手をあてがいながら、上体を起こすと、愛斗が入って来た。



「起きたん?」



「あぁ」



「実はな。憂紀が早産したんや」



「憂紀は?子供は?」



あれは夢ではなかったようだ。

焦る俺に、愛斗は「まぁまぁ」と、落ち着かせる。



「母子共に健康と言いたいんやけど、子供は保育器の中や。せやけど、立派に息してんで」



…良かった。

ちゃんと生きてるんだ。