「は?また帰って来てないの?」



「そうよ。だからお弁当、ちゃんと琉聖に届けてね」



「…はいはい」



朝、私の機嫌はお兄ちゃんが居るか居ないかで変わる。

…もしかして、また?

≪どこにいる?≫

私はお兄ちゃんにメールを送った。

≪愛斗ん家≫

…あの女のところなの?

何がそんなに良くて行くの?



「懲りない女ね…」



ネクタイを緩く絞めながら、鏡を覗き込んだ。

私の方が可愛い。

私の方がお兄ちゃんには合ってるの。

…渡さない。

あの女にお兄ちゃんを渡してたまるか!!