「…お兄ちゃん」



気付かれないようにしたつもりだったけどバレた。

ため息を吐きながら振り返ると、夕姫の隣にいた男がニヤニヤと笑って頭を下げて来る。

キモいし、人として疑う。



「お兄ちゃん、愛斗の家に住み続けるの?」



「さぁ。就職したら、マンションでも借りて、憂紀と住むかもな」



「そっ…」



夕姫は俺から目を逸らす。

隣に立つ愛斗がため息を吐き捨て夕姫に近付く。



「憂紀を消したら、シバくでな」



顔見て湧いたであろう怒りを表す愛斗に、夕姫は何も言わない。

しかし、隣にいた男が反応した。