リビングで雑魚寝してる琉聖と兄貴。

父親と3人で呑み比べをして、2人はあっさりと完敗。



「琉聖に、“前向きに考えてる”って言ったんやってな」



「うん。本当は良いの。今すぐにでも。けど、夕姫が頭から離れなくて」



父親が焼酎の入ったグラスを揺らすと、氷がカタンと音を起てた。

母親は食器を片付けて、2人は“ふにゃふにゃ”言ってる。



「焦んな憂紀。幸せは、逃げへんで」



「そうだね」



目の前にある幸せ。

焦ったら掴めない。

ゆっくりで良い。

好きな気持ちも、変わらないんだから。