呆れてると、今度こそ夕姫が来て、海は去って行く。

すれ違う2人は目も合わさない。



「お兄ちゃん、昨日も帰って来なかったね?」



笑顔が偽物に見える。

妹じゃなければ、俺はどうしてただろうか。



「全て聞いた。もう、憂紀に拘るのを止めるんだ」



「…何の話?憂紀がどうかしたの?」



「上戸を使って、自分で何したかわかってんだろ」



惚けても、もう証言は十分にある。

正直に言わない夕姫に、虫の居どころも悪くなる。



「そうだよ。私がデブを使ってヤらせたの」



互いに眉間にシワを寄せて睨み合う。

夕姫に反省という言葉は見えない。