(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】

…ここに、いるんだな。

不思議な感覚だ。

神秘性を感じる。



「“子供は煩い”って嫌な顔をしてた人とは思えない位、優しい顔してるよ」



「何か。会いたくて」



会いたくて。

抱き上げたいんだ。

お腹に耳をくっ付ける。

何も聴こえないけど、心で感じるんだ。

赤ちゃんの鼓動を。



「そう思ってくれる人が少しでもいるから、産もうって決心が出来たんだ…」



お腹に手を添えた憂紀の指先が、髪の毛に触れた。

“独占したいと思った事はある”―…。

頭の中でリピートされた憂紀の言葉。

俺も、夕姫より愛斗、愛斗より憂紀を選んでた。