上戸隆幸の名前を知ってるのは、兄貴だけ。



「隆幸君は、お嬢さんのの事を…」



「悪いのは隆幸だけど、謝りたくて…ごめんなさい…っ!!」



どうして、関係のない人が頭を下げてるんだろう。

そして、話はどこまで広がってるのだろう。



「とりあえず、お上がりくだ…」



「―――帰って下さい。矢野さんは悪くない。関係ないんです。だから、何も聞きたくないです」



私は頭を下げて家に入った。



「誰か来たの?」



リビングから出て来た母親。

私は「さぁ…」と流して、リビングに入った。