天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ

「っ!」

小夜が足元の石に躓いて転倒した!

ここは渓流すぐそば、多くの石が転がっている。

歩くのも少々難しいような場所だ。

後ずさりの最中に転倒するのも無理はなかった。

しかし結果として。

「きゃああああっ!」

芽々や小夜が思わず悲鳴を上げてしまうような、耳をつんざくほどの咆哮を上げる熊。

大きく開いた口の中に、長く鋭い牙が見えた。

前脚を振り上げた際には、鋭利な爪も確認できた。

あんなもので襲われたら、人間など一溜まりもない。

「し、死んだふりっ…」

混乱した芽々がその場に横たわろうとするが。

「止しな」

木刀で芽々を庇うように。

宜虎が熊との間に割って入った。