レッスン場を出て、近くのファミレスに入ると店員に驚いた顔をされた。

「さ、三名様ですか?」

「はい。」

「ご、ご案内しますっ///」

店内の客は少なかったため、客にはばれる事はなかったが店員は頬を真っ赤に染めて戸惑っている。

それに気づかないふりをして、案内された席に3人は座った。

陽と楓が隣に座り、目の前に郁がいる。

「なんか、楓と郁とごはんって珍しいな。」

なぜだか気まずい空気が漂っている為に、気を使ってことりは会話を持ち出した。

「...そうだな。」

「僕、佐野とご飯行くの初めてかも。」

「楓はあまりメンバーと関わらないからな。」

郁の言葉に、楓はめんどくさそうな表情を見せた。

「僕、ライバルと仲良くするつもりないし。」

「ライバル?わた...お、俺達同じグループの仲間じゃん。」

ことりは楓の発言を否定するかのように答える。

「同じグループのメンバーだけど、所詮ライバルだよ。芸能界に仲間なんて存在しない。」

楓は思いつめたような表情で、つぶやく。

それを見た郁が口を開いた。


「ライバルとか言ってるわりには、陽と仲いいよな?」


少しだけ刺々しく聞こえたのは気のせいではない。

無意識に、郁の表情が強張っている。


「...陽は、特別だよ。」

一瞬、楓の表情が優しくなった。

それに驚き、郁は目を見開く。

今まで、楓のそんな表情を見たことがなかった。

「・・・よかったな、陽。」

郁は、何故かことりに話を振った。

「え、あ、うん。」