「・・・。」


バァン!

「みなさん!良い知らせがありますよ!」

突然ダンスレッスン場に姿を見せたのは、マネージャーの木村だった。

踊るのをやめ、全員木村に注目する。

「柚希さんと陽さんに、ドラマの出演のオファーが来たんですよ!」

「...え?」「・・・。」

陽は驚いたような声をあげた。

ドラマ?今の状況で?

「出演予定だった俳優さんが急遽でれなくなってね、

そのかわりに今もっとも注目を浴びてるスカイから出そうって事になって...

一番主人公っぽい雰囲気がでてる柚希さんと

一番人気のある陽さんが選ばれたんですよ。」

「...ちょっと待て。主人公って?」

柚希が聞き捨てられない木村の言葉に、質問した。

彼は嬉しそうな表情を見せて、口を開く。


「柚希さんが、主人公ですよ。」


その言葉に、柚希だけでなくメンバー全員がぽかんとした。


「確かに今、コンサートの練習や収録で忙しいかもしれない。

けれど、チャンスでもあるんですよ。」

「...断る。」


柚希は少しだけ考えて、断ると自分の荷物を片づけ始めた。

「ゆ、柚希さん?」

「俺はこの仕事に誇りを持っている。練習を疎かにしたくない。」

鞄を肩にかけると、表情一つ変えないで歩いていく。

「...この後撮影があるんだ。先に帰らせてもらう。」

「あ、お疲れ!」

出ていく前に陽がそう声をかけたが、彼は無視して練習場を後にした。

そんな様子を見た木村が残念そうにため息をつく。


「あ~、もったいない...あのドラマに出れば絶対今よりスカイは伸びるはずなんだけどなあ...。」