「ふああ...。」
「あ、楓。おはよう。」
部屋から出てきた楓を見て挨拶すれば、彼は眠たそうな目を擦った。
「おはよ、ことり。」
「え?ことり?」
彩乃は驚いたような顔を見せた。
「...まちがえた、おはよう、陽。」
楓は少しだけ焦ったような表情を見せてから言いなおした。ことりはほっとしたような表情を見せる。
「お兄ちゃん、ことり先輩の事知ってるの?」
「あ、うん...陽の双子の妹だし...。」
本当は、初めて実際に会ったのは昨日だが昔あったことがあると嘘をつくと彩乃は納得したように笑った。
「陽、朝ご飯食べてから帰りなよ。学校までまだ時間あるし。」
「あ、うん。ありがと。」
「同じ学校なのに一緒に行かないの?」
彩乃の素朴な疑問に、ことりは焦る。自分は森山ことりとして、陽とは違う学校に通わなければいけない。
「...陽は今日、午前中は仕事だから一緒に行けないんだよ。」
「そうなんだ...お仕事頑張ってね。」
楓のフォローでどうにかなったものの、このままではいつボロがでるかわからない。
「彩乃、手伝って。」
「うん。」
どうやら朝食を作るらしい。
彩乃に声をかけると楓はキッチンへと向かった。


