男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-




ぐぅうう、

「...お腹すいた。」

時計を見れば、すでに0時をすぎていた。

そういえば晩御飯、食べてなかったな。と思い

リビングへと向かう。

ふとテーブルに目を向ければ、ことりの分の晩御飯がラップされて

置かれていた。

『ことり、無理しないでね。』

紙に、そう一言書かれていた。

母親の文字に心が温かくなる。

「・・・。」

もしかして、母親は陽だけを見ていたんじゃないかもしれない。

いつも気づかれないよう、影で努力する陽に気づいて

心配していただけだったのかも、と思う。

もしそうだったなら、自分は大馬鹿だ。

何も知らずに、まわりにあたり散らしていただけだった。

自分は、何も知らない子供だった。

「、っ」

ことりは椅子に座ると、ラップをとり遅めの晩御飯を食べ始めた。


(食べ終わったら、また頑張ろう。

もう少し練習すれば、あのステップができるようになるし...。)


少しずつ、ことりは変わり始めていた。














チュン、チュン、

小鳥の囀りが聞こえ、朝日が差し込む。

「...あ。」

気づけば朝になっていた。

練習に夢中で、全く気が付かなかった。

寝ていないせいで、頭が重くぼんやりしている。

ぼうっと時計を見れば7時30分。

「っ、学校!」

ハッと思いだし、ことりは急いで風呂へ向かうと入る。

風呂から上がると、バタバタと用意をし始めた。