「私、別に誕生日を祝ってもらおうなんて考えてないし。」

ことりがそっけなくそういうと、母親はムッとしたような表情を見せる。

「その言い方はないでしょう。

折角二人の誕生日なんだから、お祝いするのは当たり前じゃないの。」

「何が二人の誕生日なのよ!お兄ちゃんの事しか考えてないくせに!!」

突然大声をあげて、ことりは陽から受け取ったプレゼントを母親に投げつける。

「ことり!いい加減にしなさい!」

「うるさい!」

我慢の限界だった。

自分の事をちゃんと見てくれない母親にずっと不満を感じていた。

小学生のころから、ずっと お兄ちゃん を優先してきた母親の事は

大嫌いだし、それ以上に陽の事が気に食わない。

自分は冷たい態度をとっているのに、

優しくしてくる兄が嫌だった。



「ことり、」

心配した陽が妹の名前を呼んだが、

それを無視してことりはドタバタと二階の自室へと入って行ってしまう。


「・・・俺、様子見てくる。」

「ほっときなさいよ。きっとあの子、反抗期なのよ。」

行くだけ無駄よ、という母親に陽は戸惑う。

「陽君は今日お仕事で疲れたでしょう?

早くお風呂に入って寝なさい。」

「・・・うん。」

母親に言われ、陽は渋々風呂へ向かう。

今回のようなことは今までに何回もあったし、

自分がどれだけことりに構っても自分が芸能活動をしているかぎり

関係は良くならないことになんとなく気づいていた。



母親は、自分の足元に落ちているプレゼントを手に取ると

そっとソファーにおいて、ため息をついた。