"じゃあ、18時に。
いつものスタジオの前で"
それを見て、了解と送ると携帯を閉じた。
気まずい雰囲気が少しでも良くなるといいと思う。
「ついたよ、ことりちゃん。」
「...え。」
ついた場所を見て、陽は大きく目を見開いた。
自分が通っている学校だったのだ。
「な、なんで、ここ...。」
「特別に許可をとって、学校の中で撮影をすることになったんだ。
スカイの陽も、普段は普通の男子高生っていう事をアピールしようと思ってね。」
「...。」
ああ、気まずい。
本来なら今日、ことりはこの学校に登校しているはずなのだ。
なのに自分は陽の姿で、今、ここにいる。
「ああ、ここ、ことりちゃんが通ってる学校だっけ?」
「は、はい...。」
「大丈夫、誰もことりちゃんなんてわからないよ。」
ほら、行くよ。と言い駐車場に車を止めて降りる。
ごくり、
ことりは生唾を飲みこむと、重い足取りで木村の後に続いた。
スタッフが校長に挨拶をしている間、ことりは学ランに着替える。
そして軽いメイクをしてもらうと撮影に入った。
今は昼休みの時間の為に、生徒達が集まってくる。
「え?マジでスカイの陽!?」
「うわー、カッコイイ!後でサインもらおー!」
聞き覚えのある声に振り向けば、同じクラスの女子生徒。
自分を馬鹿にしていた奴等だった。
「アイツ、今日休んでてよかったね。」
「それわかるー!」
アイツ、とは自分の事だろう。
なんだか無償に腹が立ってきた。
「陽君、普通に歩いて、教室に入って
好きに動いて。」
「っ、ハイ。」
生徒達の視線をあびながら、ことりは教室へと足を踏み入れた。