「今日は野外撮影になるよ。」

「野外撮影?」

「うん、町にでての撮影。」

町に出ての撮影と聞いて、ことりは青ざめた。

町にはたくさんの人がいる。

その中で写真撮影をするなんて緊張するどころの話じゃない。

「っ...無理です!」

「無理じゃないって~、ほら、これに着替えてメイクさんに

メイクしてもらってきて。」

木村は陽に衣装を差し出すと、楽屋へと押し込んだ。

無言で衣装を見つめ、ハァとため息をつくと仕方なく着替え始める。

(大丈夫、撮影は今日だけだ、大丈夫。)

自分に言い聞かせ、落ち着かせる。

着替え終わり、鏡に自分の姿をうつして改めて 陽 そっくりなことに

驚く。


コンコン、

ノックの音が聞こえて返事をすると、

外からメイク担当の女性が入ってきた。












そして、メイクが終わると木村が再び現れた。

「陽さん、時間です。」

「...ハイ。」

力なくそう返事をすれば、木村は陽の肩を数回たたいて

頑張れ と言葉をかける。

少しだけ肩の力が抜けたような気がした。

まずは、スタジオをでてすぐのところにある公園で撮影をするらしい。

公園についた瞬間、スタッフがテキパキと用意をし始めた。


「ねえ、あれってスカイの陽じゃない?」

「え?マジで!?うわーっ、超カッコイイ!」


通りすがりの一般人は、陽の姿を見つけると黄色い声をあげながら

集まってくる。すぐに人だかりができた。

スタッフが、撮影に邪魔にならないように注意をしている姿が目に入る。

「キャー!陽くんこっちむいてー!」

声をかけられて振り向けば、さらに歓声は大きくなった。