男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-


きっと、何万人という応募があるだろう。

その中で選ばれるのは難しい。

自然とことりの表情が強張る。

「うわー、人いっぱいですね…」

会場についたらしい。

彩乃は入場待ちをしているファンをみて驚いた。

想像以上に人が多い。

自分の兄の名前が書かれている団扇や、グッズを持っている光景をみて

改めてスカイは凄いのだと実感する。


二人は列に並び、入場を待った。

10分くらい経った時、前へ進み始める。


「楽しみですねっ!」

彩乃がことりに笑顔を向けた。













*


「一体、どういう事ですか!!」

場所はスカイの楽屋。

木村の焦った声が響く。

部屋は緊迫した雰囲気に包まれていた。


「陽さんが、まだ到着していないなんてっ…」


連絡しても繋がらない。

本番前の練習にも姿を現さなかった。

家の方に陽が居るか確認を取ろうとしたが、無駄だった。

家には誰もいない為、無理もない。


時間がない。

あと30分で開演になる。

「陽、何してんだよっ…」

南が焦ったような声をだした。柚希は腕をくみ、静かに目を綴じる。


「…楓」

郁が静かに彼を呼んだ。


「何?」


「ことりに、聞いて。」


真剣な表情で楓を見る。

彼女なら陽の居場所を知ってるかもしれない。

頷き、ことりの携帯に電話をかけた。