男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-




「ただいまー。」

夕飯を作っていると、丁度陽が帰宅した。

リビングに顔をだした陽は、料理していることりを見て母親が夜勤だということを思い出す。


「お兄ちゃん、今日は早かったね。」

「うん。思ったより収録が早く終わってさ。」


疲れた、と言いながら椅子に腰を降ろした。

「あ、ことり。」

「え?」

「明後日の朝七時。テレビ前な。」

「...それ、楓にも言われたんだけど何かあるの?」

「重大発表!」

ふ、と微笑む陽を見て首を傾げると 楽しみにしてろって と言う。

「ってか、ことり、柚希に俺の代わりに男装してたこと言った?」

「言ってないけど...。」

「なんか、気づいてるみたいだったから。

きっと言わないだけで、南も薄々わかってると思う。」

「そのことについて、何か言ってた...?」

恐る恐る問えば、陽はにっこりと笑う。

「言ってた。」

「なんて?」

「さあ?」

はぐらかす陽に少しだけムッとしたとき、焦げ臭いにおいが鼻につく。

「あ!」

野菜炒めを作っていたことをおもいだし、慌てて火を止める。

そのせいで話は強制的に終了する。

小さくため息をつけば、陽が再び笑った。