そして、強引に唇を奪われた。

思わず目を見開く。

けれど嫌じゃなかった。

瞳を綴じて、震える手で彼の服を握る。



そっと離れて、楓はまっすぐことりの目を見た。


「僕も、ことりが好き。」


ボッとことりの顔が真っ赤に染まった。

そんな彼女が愛しくて、もう一度強く抱きしめる。

心の底から幸せだと思えた。









ずっとこうしていたいけど、何も言わずに飛び出してきてしまった為に

そろそろ帰らなければ心配されるだろう。

「家まで送ってく。」

ことりから離れて楓は彼女の手を取った。

少しだけ頬を赤く染めて、ありがとうと礼を言う。

今までとは少し違う関係に、戸惑いを覚えた。


けれど楓は「スカイ」。

やっぱり自分とは違う。

しかしことりは、記憶が無くなる前のような考えは無い。

自分と彼は住む世界が違うなんて、思えなかった。