男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-



「当たらなかった人もいるみたいですね。」

「そうですね、俺も会えなくて寂しいです。」

陽が苦笑を浮かべて言えば キャアア という歓声が再びあがる。

隣に座っていた楓が誰にも聞こえないような小さい声で

よく言うよ、とつぶやく。


「でも、大丈夫です。そんな方たちの為に番組の最後に豪華なプレゼントが当たる

チャンスもありますからね!」

司会者が明るく言えば、観覧客は大声をあげて喜んだ。




「今日はスカイの皆さんにメドレーを歌ってもらいます。

スタンバイお願いします。」

「お願いします。」

「よろしくお願いしまーす。」


メンバーは立ち上がり、ステージに移動した。

ことりはスカイに釘づけだったがふと感じた視線に振り向けば

知らない関係者の男と目が合う。

じっとこっちを見てくるので、記憶を無くす依然の知り合いだろうかと思い

木村に問いかけた。


「あの眼鏡の人は監督だよ。」

「か、監督!?」

「そう。この番組の監督。突然どうしたの?」

「い、いえ...。」


もう一度監督に視線を戻せば、彼はすでに自分の方を見ていなかった。