学校はあっという間に終わった。

ことりは、鞄を持ち早々と帰ろうと教室を出ようとする。


「ことり先輩っ!」


しかし、突然教室に入ってきた少女を見て動きを止めた。

まだ残っていたクラスメイトの視線が集う中、ことりは表情をひきつらせた。

できるなら目立ちたくないのに、奥村楓の妹(しかもモデル)が自分に用事があり

教室に入ってきた事は大きかった。

自分と彩乃を見てひそひそと話しだす生徒達。

居心地が悪くなり、ことりはばっと彩乃の手を掴むと教室を出た。

そのまま生徒玄関へと向かう。


「一緒に帰りませんか!」

「...うん。」


キラキラとした視線を向けてくる彼女に戸惑いながらも頷けば嬉しそうに笑う。


「あ、陽君、なんて言ってました!?」

「泊まりに行くっていってたよ。」

「ほんとですかっ!?」


返事が来たことを伝えれば、彩乃は素直に喜んだ。


「お兄ちゃんの事、本気で好きなんだね。」


学校を出て、歩きながらことりは言った。


「はい。」

普通のファンとは違う想いが彼女にある。

ことりは微笑んだ。