「...お兄ちゃん、意識不明で、ずっと入院してたの。」

「え!?」

「だから、代わりに私がスカイに入ってお兄ちゃんの代わりに仕事してたんだけど...」

衝撃的事実に楓は驚きを隠せない。

けれどここで自分が取り乱しても意味がない。

一番辛くて、我慢してきたのはことりなんだと思う。


「っ、」

そこで、ことりは言葉を詰まらせた。

成程、そういうことだったのか。

意識不明だった陽が目を覚ましてしまったから、

ことりはスカイを辞めてメンバーと離れなければならない。

それが彼女にとって、寂しいのだろう。


「ことり、僕も一緒に病院に連れてってよ。」

「楓...。」

「陽君と、話したい。」


楓の本心は、いけない事だとわかっていてもことりと離れたくなかった。

けれど、このままことりと仕事を続けていくのには限界があるだろう。

何時バレてしまうかわからない。

それに、陽が目を覚ましたのなら陽が戻ってくるのが普通だ。



とりあえず、楓は陽と話をしたかった。

楓の申し出に、ことりは戸惑いながらも頷いた。














病院につき、陽の病室へと向かう。

楓はことりの手を握っていた。

まだ、陽の恰好をしたままのことりにとっては少し気まずいが、

何よりも楓が近くにいると思うと安心する。


(私は、一人じゃない)