「陽!?何やってるの!?」

楓と郁はことりの姿を見て目を見開いた。

「何時まで経っても来ないと思っていたら...こんなところにいたのか。」

郁は冷静にそう言った。

2人の声に気づいた南は、そこから鍵を開けるように言うと楓は不思議そうに外側から鍵をあけた。

「南まで、何やってんの?」

「閉じ込められたんだよ!」

「誰に?」

「知らない。女子だったことは確かだけど...。」


「だ、誰かあ・・・助けて。」


話しこんでいる3人に向かって、ことりは泣きそうになりながら呟いた。

戻ることができないのなら、そこから落ちるしか方法はないだろう。

「陽、そのまま落ちろ。」

「え!?」

「俺が受け止める。」

郁がそう言い、早くしろ、と両手を広げた。

そんな彼に楓はムッとしたような視線を向ける。


「陽。」

「わ、分かった!!」

もう一度名前を呼ばれて、渋々ことりは小窓から身を乗り出す。

ぐらつく視界が怖くなり、ぎゅっと目を瞑った。

そしてそのまま落ちる。


どさ、


「大丈夫か?」

すぐ近くから聞こえた声に、ことりは恐る恐る目を開いた。

しっかりと、郁に受け止められている。

正面から抱きしめられている体勢に恥ずかしくなりことりは耳まで真っ赤に染め上げた。


「いちゃいちゃするなら他でやってよー。」

楓が呆れたような視線を向けると、郁は仕方ないだろうと反論する。

ことりが彼から離れると、小さく礼を言った。