けれど考えてみても思い当たることはありません。

兄妹仲は良かった方です。

あんな言い方をされるほど、ひどいケンカをした覚えもありませんし…。

そんなことを考えている間に、高校に到着しました。

靴を履き替えていると、同じクラスの女の子がやってきました。

「おはよう」

「………」

しかし彼女も家族と一緒で、わたしが声をかけても無視します。

わたしの存在なんて気付いていないように、靴を履き替えて、先に行ってしまいます。

「あっ…」

彼女の後姿を見ながら手を伸ばすも、声をかけにくくなって、わたしは下を向きます。

「何か…やっちゃったのかな? わたし」

でも誰に声をかけても、誰も何も答えてくれません。

…いえ、数人はいるんです。

わたしの呼びかけに答えてくれる人が。