「あ!あそこじゃん?」
修斗くんが指を差した先に目をやると、そこには、深緑色の木々に囲まれたクリーム色の建物が建っていた。
校門から50メートルくらい先に昇降口がある。
その50メートルの道を桜の木たちが囲んでいた。
「すごい綺麗だな」
「うん…」
思わず、ゴクリと唾を飲んだ。
今まで、こんなに華やかな場所に、縁もゆかりも無かったから。
受験をした時に、一度来ているはずなのに、違う場所のように感じた。
受験の時は、勉強のことに必死で、周りを見る時間なんか無かったからだ。
改めて、目の前にした学校は、未知の世界のようだった。


