<わかってるよ、真梨子。
それは私が一番よくわかってる。
酷い女で、最低だってことも。
あなたの言う通り、私はあんなに優しい達也さんを傷付けて、取り返しのないことをしてしまった。
でもね、一生かけて、
彼のそばで償いたいと思った…
都合のいい女だと思われてもいい、
そう覚悟して…>

「あんたと達也先輩が離婚したら、
今度こそ私は彼を幸せにしてあげようって、そう思ってたのに」

「真梨子が?」


膝の上に置いた手に目をやると、結婚指輪が鈍く光っていた。


「もう私の前に現れないで。
それにあんたを親友だって思ったことなんて…一度もない!」

博子は目を伏せた。

息をするのも苦しいほどだ。

「真梨子、もし真梨子がそう思ってても…私は好きだったよ、真梨子のこと。
今も、この時も親友だって思ってる。
今まで傷付けていたことに気付かなくて、本当にごめんなさい…!」

苛立ったように真梨子は席を立った。

周りの客が、ずっと二人の会話に耳をそばだてている。


そのことを気にするでもなく、彼女は大きな声で続けた。

「じゃあ、博子。これでもまだ私のことを親友だなんて言える?」

真梨子は目の前の女を見下ろした。

そして冷たくて、身を切るような鋭い視線を投げつけると、こう言った。