天井まで張り巡らされたガラスの窓から外を見ていると、真梨子が笑顔で店の外から大げさなくらい、大きく手を振る。
「ごめん、ごめん。お待たせぇ」
温かい陽射しが差し込むカフェの一角。
若干頬を紅潮させ息を弾ませながら、彼女は席についた。
相変わらず、生き生きとしている。
「ううん、こっちこそ急に呼び出しちゃって」
博子は目の前の真梨子にメニュー表を手渡そうとした。
「ホットコーヒー」
それを見るまでもなく彼女は店員にそう告げたので、彼女は差し出した手を引っ込めた。
「で、どうなった?」
コートを脱ぎながら、彼女は尋ねる。
「離婚、すすみそう?」
バッグと脱いだコートを空いた席に無造作に置くと、そう切り出した。
心なしかウキウキしているように見えて、博子は内心とまどった。
「そのことなんだけど…」
メニュー表をテーブルの脇に立てながら、彼女は頬にかかる髪を耳にかけた。
そうして、達也とのいきさつを全て話した。
その間に真梨子の注文したホットコーヒーが手元に届けられるが、手をつけようとはしなかった。
ただ無言で湯気が立ち上るカップの中の、琥珀色した小さな湖面を見つめていた。
その様子が、何だか博子には話し辛かった。
「真梨子にはいろいろ迷惑かけちゃって、ごめんね」
彼女は親友の顔をうかがうように見た。
「真梨子?」
向かいにはなぜか青白い顔で、呆然とした様子で真梨子が座っている。
「…で、博子自身はそれでいいわけ?いつも達也先輩に気を遣ってきたじゃない。顔色うかがってきたじゃない。またそんな日が始まるのよ」
唇をほとんど動かすことなく、真梨子から低い声が聞こえた。
「ごめん、ごめん。お待たせぇ」
温かい陽射しが差し込むカフェの一角。
若干頬を紅潮させ息を弾ませながら、彼女は席についた。
相変わらず、生き生きとしている。
「ううん、こっちこそ急に呼び出しちゃって」
博子は目の前の真梨子にメニュー表を手渡そうとした。
「ホットコーヒー」
それを見るまでもなく彼女は店員にそう告げたので、彼女は差し出した手を引っ込めた。
「で、どうなった?」
コートを脱ぎながら、彼女は尋ねる。
「離婚、すすみそう?」
バッグと脱いだコートを空いた席に無造作に置くと、そう切り出した。
心なしかウキウキしているように見えて、博子は内心とまどった。
「そのことなんだけど…」
メニュー表をテーブルの脇に立てながら、彼女は頬にかかる髪を耳にかけた。
そうして、達也とのいきさつを全て話した。
その間に真梨子の注文したホットコーヒーが手元に届けられるが、手をつけようとはしなかった。
ただ無言で湯気が立ち上るカップの中の、琥珀色した小さな湖面を見つめていた。
その様子が、何だか博子には話し辛かった。
「真梨子にはいろいろ迷惑かけちゃって、ごめんね」
彼女は親友の顔をうかがうように見た。
「真梨子?」
向かいにはなぜか青白い顔で、呆然とした様子で真梨子が座っている。
「…で、博子自身はそれでいいわけ?いつも達也先輩に気を遣ってきたじゃない。顔色うかがってきたじゃない。またそんな日が始まるのよ」
唇をほとんど動かすことなく、真梨子から低い声が聞こえた。


