「僕が悪いんです。僕が…!
今朝、博子が言ったんです、お腹が痛むんだって。それなのに僕は仕事に出ました。
博子をひとりっきりにしました。
あの時病院に連れてきていたら、こんなことには…!」
そう言って涙を流した。
「博子と子どもを守ることができずに、本当に申し訳ありません」
「違うよ、達也くん。こればっかりは誰のせいでもない。君は悪くない」
「そうよ」
それでも彼は床に顔をうずめると、声を上げて泣き始めた。
「申し訳、ありません…!」と何度も繰り返しながら、大きな泣き声が廊下を反響して、いつまでもいつまでも聞こえていた。
「お母さんね、長い間生きてきたけど、男の人が人目もはばからずに、あんなに声をあげて泣く姿、初めて見たわ。それもあんなに悲しそうに」
そうして優しい瞳で、幸恵は隣で涙を流す娘を見た。
「…なんで言ってくれなかったの」
「達也さんが絶対にあんたには言わないでくれって。誰よりも辛いのは、博子なんだからって。
自分が取り乱した姿を見せたら、共倒れになってしまう。どんなに冷たいと思われても、自分だけはしっかりしてなきゃダメなんだって」
博子は口元を押さえた。
とめどなく涙が流れる。
幸恵がそんな彼女をそっと抱きしめた。
その暖かさに堪えていたものが溢れ出し、気が付けば声を上げていた。
<達也さん、達也さん…ごめんなさい。
あなたはそんなにも私を愛してくれていた。なのに私はあなたを責めた。あなたを裏切った>
「お父さんがね、病院でのそんな達也さんを見て、自慢げに言うのよ。『ほら、俺の目に狂いはなかっただろ』って」
幸恵は笑っていた。
涙を流しながら。
「親っていうのはね、娘を大切にしてくれる人のところへお嫁に出すのが、一番幸せなことなのよ。お父さんも、お母さんも、あんたが達也さんを選んでくれて、本当に良かったって思ってる。とっても幸せなのよ、私たち」
「…お母さん」
今朝、博子が言ったんです、お腹が痛むんだって。それなのに僕は仕事に出ました。
博子をひとりっきりにしました。
あの時病院に連れてきていたら、こんなことには…!」
そう言って涙を流した。
「博子と子どもを守ることができずに、本当に申し訳ありません」
「違うよ、達也くん。こればっかりは誰のせいでもない。君は悪くない」
「そうよ」
それでも彼は床に顔をうずめると、声を上げて泣き始めた。
「申し訳、ありません…!」と何度も繰り返しながら、大きな泣き声が廊下を反響して、いつまでもいつまでも聞こえていた。
「お母さんね、長い間生きてきたけど、男の人が人目もはばからずに、あんなに声をあげて泣く姿、初めて見たわ。それもあんなに悲しそうに」
そうして優しい瞳で、幸恵は隣で涙を流す娘を見た。
「…なんで言ってくれなかったの」
「達也さんが絶対にあんたには言わないでくれって。誰よりも辛いのは、博子なんだからって。
自分が取り乱した姿を見せたら、共倒れになってしまう。どんなに冷たいと思われても、自分だけはしっかりしてなきゃダメなんだって」
博子は口元を押さえた。
とめどなく涙が流れる。
幸恵がそんな彼女をそっと抱きしめた。
その暖かさに堪えていたものが溢れ出し、気が付けば声を上げていた。
<達也さん、達也さん…ごめんなさい。
あなたはそんなにも私を愛してくれていた。なのに私はあなたを責めた。あなたを裏切った>
「お父さんがね、病院でのそんな達也さんを見て、自慢げに言うのよ。『ほら、俺の目に狂いはなかっただろ』って」
幸恵は笑っていた。
涙を流しながら。
「親っていうのはね、娘を大切にしてくれる人のところへお嫁に出すのが、一番幸せなことなのよ。お父さんも、お母さんも、あんたが達也さんを選んでくれて、本当に良かったって思ってる。とっても幸せなのよ、私たち」
「…お母さん」


