はぐれ雲。

「…わかったよ。俺のせいだよ、みんな俺のせいだよ!」

「そんなこと言ってないじゃない!」

「あの日、俺が君を置いて仕事に行ったからだよ」

「違う、そんな言い方しないで!」

「じゃあ、どう言えばいいんだ!教えてくれよ!!」

あまりの剣幕に、博子は言うべき言葉も見つからずにたちすくんだ。

「…達也さん」

昂ぶった感情を抑えようと、達也自身も何度も大きく呼吸をする。

「少し、ひとりにしてくれないか」

そう言い残して、彼は寝室に入った。

真っ暗な部屋の中で、彼は頭を抱える。

二人の間の溝が深くなっていた。

底も見えないくらいに。

彼女の気持ちを少しでも軽くしてあげたい、そう思っていたのに…。

結局今日もこんな形で終わってしまった。

その上、ここ最近彼女の気持ちが離れていくのを嫌でも感じるだけに、どうしていいのかわからない。

不安で仕方ない。

そのことが余計に彼を苛立たせ、心にもないことを言って彼女を傷つけてしまう。

そんなつもりはないのに。
どうやって自分の気持ちを博子に伝えたらいいのか、わからない。

達也は途方に暮れた。