「やだっ、亮二。どうしてここに?」
先ほどとは一変して、甘えた声の女は亮二に抱きついた。
その声とは裏腹に、彼の肩越しに直人と浩介を刺すように睨む。
彼らが亮二を呼んだのだと思った。
そして同時に、レンがこの店に博子を連れ込むところを見られていたのだということ悟った。
<レンったら、役に立たないわね!>
「怪我はないか」
亮二は女を引き離すと、博子に近付き手を差し伸べた。
「新明くん…」
博子はその手に見向きもせず、目を伏せたまま唇を振るわせた。
「…本当なの?私を利用して、主人から警察情報を取ろうとしてたって。嘘よね、ね?」
亮二は引いた手で頭をかく。
「バレちまったなら、仕方ねぇな」
全身の力が抜けてしまったかのように、博子はその場にぺたんと座り込んでしまった。
「ほぉら、言った通りでしょ」
亮二の後ろにいた女が鼻で笑った。
「黙ってろ、リサ」
彼はもう一度博子に手を差し伸べた。
「と、いうわけだ。こんなとこまで連れてきちまって悪かったな。家まで送らせる」
そう言うと、浩介に目配せをした。
もうおひらきだ、そんなふうに言ってるように思えた。
しかし、「嘘よ、そんなの」という声に、皆の動きが止まる。
視線が博子に集まった。
「嘘じゃねぇよ」
亮二は呆れたように手をポケットに突っ込んだ。
「だって、新明くん、そんなこと一度も聞こうとしたことなかったじゃない。主人が今どんな事件担当してるとか、一切警察の話を持ち出したことなかったじゃない」
博子は訴えるような目で亮二を見上げた。
<お願いだから、嘘って言って…>
しかし亮二はため息をつくと、言った。
「警察情報を取るのは簡単なことじゃない。慎重に慎重を重ねただけだ。おまえを完全に俺のものにしてから、聞き出すつもりだった。リサは、俺におまえを抱く気はなかったっつってたけど、俺は目的のためなら、どんな女でも抱く。大抵の女はせがむんだぜ、俺に抱いてくれってな。でも、おまえが、抱かれようとしなかったんだ。まぁ、俺の負けってことだ」
先ほどとは一変して、甘えた声の女は亮二に抱きついた。
その声とは裏腹に、彼の肩越しに直人と浩介を刺すように睨む。
彼らが亮二を呼んだのだと思った。
そして同時に、レンがこの店に博子を連れ込むところを見られていたのだということ悟った。
<レンったら、役に立たないわね!>
「怪我はないか」
亮二は女を引き離すと、博子に近付き手を差し伸べた。
「新明くん…」
博子はその手に見向きもせず、目を伏せたまま唇を振るわせた。
「…本当なの?私を利用して、主人から警察情報を取ろうとしてたって。嘘よね、ね?」
亮二は引いた手で頭をかく。
「バレちまったなら、仕方ねぇな」
全身の力が抜けてしまったかのように、博子はその場にぺたんと座り込んでしまった。
「ほぉら、言った通りでしょ」
亮二の後ろにいた女が鼻で笑った。
「黙ってろ、リサ」
彼はもう一度博子に手を差し伸べた。
「と、いうわけだ。こんなとこまで連れてきちまって悪かったな。家まで送らせる」
そう言うと、浩介に目配せをした。
もうおひらきだ、そんなふうに言ってるように思えた。
しかし、「嘘よ、そんなの」という声に、皆の動きが止まる。
視線が博子に集まった。
「嘘じゃねぇよ」
亮二は呆れたように手をポケットに突っ込んだ。
「だって、新明くん、そんなこと一度も聞こうとしたことなかったじゃない。主人が今どんな事件担当してるとか、一切警察の話を持ち出したことなかったじゃない」
博子は訴えるような目で亮二を見上げた。
<お願いだから、嘘って言って…>
しかし亮二はため息をつくと、言った。
「警察情報を取るのは簡単なことじゃない。慎重に慎重を重ねただけだ。おまえを完全に俺のものにしてから、聞き出すつもりだった。リサは、俺におまえを抱く気はなかったっつってたけど、俺は目的のためなら、どんな女でも抱く。大抵の女はせがむんだぜ、俺に抱いてくれってな。でも、おまえが、抱かれようとしなかったんだ。まぁ、俺の負けってことだ」


