はぐれ雲。

それが嫌で、塾に行くフリをしてゲームセンターで時間をつぶすことが多くなった。

周囲の友達は、学校から帰るとランドセルを玄関に置いて遊びに出かける。
勉強といっても、学校の宿題程度だ。

なのに、自分はテレビを見る時間もなければ、寝る時間さえも削るように言われる。

窮屈だった。

こんなことまでして、医者になりたいとは思わない。

勇気を出して、整備士になりたいと告げたこともあったが、一蹴された。

二人の兄は進学校でもトップクラスの成績を修めている。

しかし、浩介の塾での成績はふるわなかった。
両親が期待すればするほど、彼は逃げ出したくなった。

中学入試の日。

浩介は名前だけを記入し、全教科を白紙で出した。

せめてもの抵抗だった。
全ての受験校が不合格となり、地元の公立中学校に通う浩介を両親は恥だと思うようになる。

そんな雰囲気を、思春期の浩介は敏感に感じ取り、やり場のない怒りが彼の行動に出始める。

学校に行かなくなり、ゲームセンターに入り浸った。

金はある。
親の財布から抜いた金で一日中遊んだ。

次第に付き合う仲間も変わってくる。

もう浩介の親は、息子の行いに見て見ぬふりだった。

彼が財布から金を抜き取ろうが、家に何日も帰ってこない日が続こうが、一切何も言わなくなった。

それがかえって浩介には見捨てられたかのように思えて、ますます荒れてゆく。


他の不良グループとささいなことで喧嘩をしては、相手が気を失うまで殴り続けた。

この地域一帯では「坂井浩介」と聞くと、みんな身震いするほど名が知れ渡り、恐れられた。


浩介はよく駐輪場から単車やバイクを盗んできては、自らの手で改造を施す。

ある日、そうやって手に入れたバイクのエンジンをいじっていると、友達から夜走らないか、と誘われた。
そう、亮二のグループだ。