薄汚い中華料理店だった。
「おっさん、定食二人前頼む」
のれんをくぐって、男は厨房の店主に言った。
狭い店内には客はいない。
中年の店主は煙草をくわえて新聞を読んでいたところだった。
「おう、亮二。今日は見ねぇ面のガキ連れてきて、どうした」
「どうもしねぇよ。それより早くしてくれ、腹減ってんだ」
「よしきた」
促されて席についた直人は、うつむいたまま。
目の前の若い男も何も言わなかった。
しばらくすると、直人の目の前にラーメン、餃子、サラダ、スープ、白いご飯が並べられた。
何ともいえない匂いが直人のまわりを漂う。
彼は生唾を飲み込んだ。
「食えよ、腹減ってんだろ」
そう言って前に座っている男はラーメンをすする。
それでも直人は手をつけようとしなかった。
「食えよ、早く。麺が延びるだろうが」
やっと彼は震える手で箸を持った。
そして湯気の立つ白いご飯を、一口食べた。
もう一口、もう一口と次々に口に押し込んだ。
<こんな温かいご飯はどれくらいぶりだろう…>
涙が出た。
ポロポロ涙が落ちてきて、こらえ切れなかった。
「お…おいしい」
直人は声を殺して泣くのを、男は見て見ぬふりをしてくれた。
「あの、俺…金ないんです」
店の前で直人は頭を下げる。
「いらねぇよ、そんなもん」
「でも、どうして俺なんかに」
直人は男の顔を見た。
「さぁな」
彼はズボンのポケットに手をつっこむ。
「もう、つまんねぇことすんなよ」
それだけ言うと、彼は立ち去った。
これが新明亮二との最初の出会いだ。
直人は次の日も、次の日もその中華料理屋に足を運んだが、彼は来なかった。
店主に亮二の居場所を尋ねても、いつも言葉を濁された。
直人は根気強く店に通い、根負けした店主がある日こう言った。
「あんた、しつこいねぇ。あいつは亮二っていって、その先にいつも集まってる暴走族の一人だよ」と。
直人はお礼を言うと、急いでその場所へ向かった。
「おっさん、定食二人前頼む」
のれんをくぐって、男は厨房の店主に言った。
狭い店内には客はいない。
中年の店主は煙草をくわえて新聞を読んでいたところだった。
「おう、亮二。今日は見ねぇ面のガキ連れてきて、どうした」
「どうもしねぇよ。それより早くしてくれ、腹減ってんだ」
「よしきた」
促されて席についた直人は、うつむいたまま。
目の前の若い男も何も言わなかった。
しばらくすると、直人の目の前にラーメン、餃子、サラダ、スープ、白いご飯が並べられた。
何ともいえない匂いが直人のまわりを漂う。
彼は生唾を飲み込んだ。
「食えよ、腹減ってんだろ」
そう言って前に座っている男はラーメンをすする。
それでも直人は手をつけようとしなかった。
「食えよ、早く。麺が延びるだろうが」
やっと彼は震える手で箸を持った。
そして湯気の立つ白いご飯を、一口食べた。
もう一口、もう一口と次々に口に押し込んだ。
<こんな温かいご飯はどれくらいぶりだろう…>
涙が出た。
ポロポロ涙が落ちてきて、こらえ切れなかった。
「お…おいしい」
直人は声を殺して泣くのを、男は見て見ぬふりをしてくれた。
「あの、俺…金ないんです」
店の前で直人は頭を下げる。
「いらねぇよ、そんなもん」
「でも、どうして俺なんかに」
直人は男の顔を見た。
「さぁな」
彼はズボンのポケットに手をつっこむ。
「もう、つまんねぇことすんなよ」
それだけ言うと、彼は立ち去った。
これが新明亮二との最初の出会いだ。
直人は次の日も、次の日もその中華料理屋に足を運んだが、彼は来なかった。
店主に亮二の居場所を尋ねても、いつも言葉を濁された。
直人は根気強く店に通い、根負けした店主がある日こう言った。
「あんた、しつこいねぇ。あいつは亮二っていって、その先にいつも集まってる暴走族の一人だよ」と。
直人はお礼を言うと、急いでその場所へ向かった。


