「でもよかった」
真梨子が意外な言葉と同時ににっこりする。
「え?何が?」
「だって博子、昔の博子に戻った気がする。新明先輩がいなくなってから、なんだか周りに流されるっていうか…正直結婚決めたときも、そんな気がしてたのよ。今でも達也先輩にすごく気を遣って、遠慮してるように見えるし。言いたいことも、言えてないような気がしてた」
「そう…?」
でも、言われてみればそうかもしれない。
亮二がいなくなって以来、何もかもどうでもよくなって、人に言われるがまま、勧められるがままに過ごしてきた部分も確かにある。
けれど、達也との結婚は間違いなく自分の意思だった、そう断言できる。
彼と共に生きたい、心からそう思ったから、彼の胸に飛び込んだ…と。
でも真梨子の目には、きっとこう映っているに違いない。
亮二に置いてけぼりにされ、たまたま達也と出会って結婚し、守られて、彼の帰りをひたすら家で待ち続けて…
彼女にしてみたら、窮屈な恋愛、結婚生活にみえるだろう。
ずっと同じ道を歩んできたのに、大学卒業と共に結婚と仕事という別々の道へ進んだ二人。
「私は博子が博子らしくなってよかったと思うよ。まあ、泥沼になっても、私は責任取れないんだけど」
「だめよ、もう連帯責任よ。新明くんの居場所を教えてくれたのは真梨子なんだから」
「そうだっけ、忘れちゃった。これで許して」
そう言って、ひとかけらのタルトを博子の口へ運んだ。
「ところで、真梨子。いつになったら真梨子の新しい彼氏を紹介してくれるの?どこで知り合ったのよ。いろいろ聞かせて」
「ん?彼氏、ね。まぁそのうちにね…」
彼女はごまかすように、目をそらせる。
照れているのだと、さして博子は気にしなかった。
その一週間後、博子の携帯電話が鳴った。
「明日12時にこの前と同じ場所で」
「…うん、わかった…」
この時点で、もう彼女の心は引き返せないところまで亮二に向いていたもかもしれない。
最悪感に抗う術を持たないくらいに…
真梨子が意外な言葉と同時ににっこりする。
「え?何が?」
「だって博子、昔の博子に戻った気がする。新明先輩がいなくなってから、なんだか周りに流されるっていうか…正直結婚決めたときも、そんな気がしてたのよ。今でも達也先輩にすごく気を遣って、遠慮してるように見えるし。言いたいことも、言えてないような気がしてた」
「そう…?」
でも、言われてみればそうかもしれない。
亮二がいなくなって以来、何もかもどうでもよくなって、人に言われるがまま、勧められるがままに過ごしてきた部分も確かにある。
けれど、達也との結婚は間違いなく自分の意思だった、そう断言できる。
彼と共に生きたい、心からそう思ったから、彼の胸に飛び込んだ…と。
でも真梨子の目には、きっとこう映っているに違いない。
亮二に置いてけぼりにされ、たまたま達也と出会って結婚し、守られて、彼の帰りをひたすら家で待ち続けて…
彼女にしてみたら、窮屈な恋愛、結婚生活にみえるだろう。
ずっと同じ道を歩んできたのに、大学卒業と共に結婚と仕事という別々の道へ進んだ二人。
「私は博子が博子らしくなってよかったと思うよ。まあ、泥沼になっても、私は責任取れないんだけど」
「だめよ、もう連帯責任よ。新明くんの居場所を教えてくれたのは真梨子なんだから」
「そうだっけ、忘れちゃった。これで許して」
そう言って、ひとかけらのタルトを博子の口へ運んだ。
「ところで、真梨子。いつになったら真梨子の新しい彼氏を紹介してくれるの?どこで知り合ったのよ。いろいろ聞かせて」
「ん?彼氏、ね。まぁそのうちにね…」
彼女はごまかすように、目をそらせる。
照れているのだと、さして博子は気にしなかった。
その一週間後、博子の携帯電話が鳴った。
「明日12時にこの前と同じ場所で」
「…うん、わかった…」
この時点で、もう彼女の心は引き返せないところまで亮二に向いていたもかもしれない。
最悪感に抗う術を持たないくらいに…


