抱きつかれたと同時に俺は、わき腹を素早く横に逸らした。


戒さんの拳が俺の腹の辺りに飛んできて、避けていなかったらまともにくらっていた筈だ。


「ちっ。避けやがって」


「あなたの考えてることは、分かりますよ。長い付き合いやし」


「じゃ、これは?」


戒さんはにっと笑うと、俺の首にしがみついてきてチュッと俺の頬にキスを落とした。


ぞわわ


鳥肌が立って、思わず俺の膝が動いた。


戒さんの鳩尾辺りでその膝蹴りは彼によって阻止された。


「そうでなくっちゃ♪」


またぞろにかっと笑うと、今度は悪意のない腕で俺をぎゅぅと抱きしめてきた。


「兄弟よ!」


どこぞの映画で良くあるシーンだ。


唐突に笑えてきて、俺は吹き出した。


「まぁこないなところで抱き合ってても変に思われます。中にどうぞ」


「ほんま?いやぁ助かるわぁ。実はな、日本に帰ってることおかんには言うてへんねん。


だからな。響ちゃん」


その後を聞くのがなんとなく怖い。





「今日、泊めて?♪」





やっぱり―――!!