季節は、春。


どこも桜が満開で、一際強い風が吹くと、桜吹雪になっている。


毎日桜を見ているせいか、桜の品種までわかるようになってきた。



あたし、神崎千春は、今日で16歳を迎えた。


今日は誕生日なのに、もう死んでしまってもいいような感じ。



だって、今日は…。



「新婦さん、そろそろお時間です」


「……はい」



結婚式、だから。


しかも、親同士が勝手に決めた、政略結婚だ。