「憂愛…憂愛なんだな?」



「気安く呼ばないで――ッ!!」



「憂愛、どうしたの!?」



取り乱す私の腕を掴む梢。

唇を噛み締め、感情をコントロールしようと試みる。

ここは人前で、初対面の倉木さんや、関係ない人がたくさん居るんだ。



「望月さん、こちらのお客様とお知り合いですか?」



「“娘”なんです」



そう平然と言った父親に、私はプチンと針つめた糸が切られたような感覚に陥った。

怒りの涙がドッと押し寄せて来た。

…何が娘なんだか。

勝手な事ばかり言って。

本当、今更なに。