《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜

戸惑いの表情を隠せない
あたしに、先生はフッと
はにかんだ笑みを見せる。



そして窓の外に視線を
そらし、どこか遠くを見る
ような瞳で、ゆっくりと
こう言った。



「オレにも昔、“大切な人”が
いたんだ。

その人とオレの間にも、
いつもピアノがあって。

――オレは、その人の
奏でる音が、大好きだった……」



「え――――…」



胸がキュウッと苦しくなる。



………先生の“大切な人”?



そんな言葉も、先生のこんな
表情を見るのも初めてで、
何だか胸が締めつけられる
ように、切なくなる――…。


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