俺はテーブルに置かれた伝票を握った。
瑠華の手がまたぴくりと動き、顏を上げる。ほんの少し不安そうに表情が揺れていた。
その“不安”の中に、どんな複雑な心境が渦巻いているのか、覗きこみたくても
直視できない。
ごめん、瑠華。
こんなところで、こんなタイミングで切り出すつもりはなかったけれど。
「あと、俺と真咲が本当に切れた理由、
あいつの浮気は事実だが、
その前に、真咲は妊娠した。
当然ながら俺の子供だ」
瑠華がここに来て初めて動揺らしい動揺を浮かべ「え?」と言う感じで目をまばたく。
「でも俺は学生でどうしようもなくて、
『産みたい』言ったあいつの意思に反対して…説得させて堕胎をさせた」
瑠華は目を開いたまま固まった。
「呆れたろう?俺に。まだヒトとして形もなってない我が子をこの手で―――
俺はマックス…いや、
マックス以下だ。
俺はヒトゴロシ。瑠華は詐欺師。そんな二人がうまくやっていける筈がない。
別れてくれ」



