思わず口に出そうになった。
「ところで、バザーのお客さん?」とおばさんに聞かれ
「バザー?」
「あら違うの?来週日曜日にチャリティーバザーがあるのよ。この教会随分古いから修繕することになって」
なるほど。
てことはこのおばさんはここの管理人(?)と言うわけか。
俺は慌てて体のあちこちに触れた。
出社するためにスーツに着替えてきたから、金目のものはないが…
「あ」
ネクタイに触れた際、ネクタイのしめ具合が気に入らなくて、珍しくタイタックピンを刺して止めた。シルバーの台座に誕生石の小さなターコイズが乗っている。
「あの、これで良ければ」俺はタイタックピンを抜き取り、おばさんに手渡すと、おばさんは目を丸めて
「こんなに高そうなものを?」
「いえ、そんなに高くは…」謙遜ではない。一年前にデザインが気に入って買ったが、それほど使い道もなく、箪笥の肥やしになっていたものだ。
「あの、それより中に入っても?」
おばさんはタイタックピンを手のひらで大事そうに包みながら
「ええ」と頷き
「お祈り―――してもいいですか?」と聞くと、おばさんはまたも目を丸めた。
俺はワイシャツの襟元から首にぶら下げてあるチェーンの……同じくターコイズの石が置かれているロザリオを見せた。
「母がカトリックで、俺も小さいころ、ミサに」
「あら、そうなの。お若いのに信仰深いのね」とおばさんはまたも朗らかに笑った。
「もちろん、どうぞ」と快く開けてくれる。



