Fahrenheit -華氏- Ⅱ



瑠華とマックス―――お似合いの二人だ。


申し分なく、誰がどう見たってそれはお似合いだった。


マックスは―――俺の存在に気付いたのかどうかそれすらも分からない。


ただアイツの熱の籠ったまるでエメラルドを思わせる目は一心に瑠華に注がれていた。


まるで探していたお姫様を見つけた王子様のように。


瑠華は―――憎しみしか残っていない、と言った。


実際、会場内の瑠華は友好的とは程遠い感じだった。


いつも無表情なのに、珍しく表情が怒っていた。佐々木も気付いたぐらいだからな。


菅井さんは瑠華からの電話に出ないことを、それ以上突っ込んではこなかった。


「今日は、“絶対”僕の奢りなんで、いっぱい飲みましょう。僕もどうせ家に帰っても一人なんで」


と、追加にワインを頼んでいた。


“絶対”と言ったのは前回、菅井さんと飲みに行ったとき、俺が強引に金を出したから。


菅井さんは借りを作りたくない、と言うタイプではなさそうだ。ただ純粋に律儀なだけ。


―――そこのところも、瑠華に似ている。


俺は残りのビールを飲み干し


「すみません、ギムレットを一つ」と注文した。


元々ギムレットは好きだった。瑠華と付き合う前からずっと。


以前俺は恋に味があるとしたらギムレットだと例えた。


度数の高いジンが、喉を焼くように熱くさせる。


ジンのほろ苦さ、ライムの酸っぱさ。


そして喉を焼きつくす程の熱さ。