Fahrenheit -華氏- Ⅱ


さりげなく瑠華の腰に、それはそれは自然な動作で手をやり、料理を選ぶのを手伝いながら瑠華に極上の笑顔を向けるマックス。


女なら―――堕ちる


筈……


「私はジョニー・デップの方が良かったわ。ジョージ・クルーニーでもいいけどね」と綾子。


でたな、ジジ(?)専。


「ジョニーよりもジョージよりも俺の方がいいだろ!」


裕二が自分の胸を叩く。


「それとこれとは別よぉ。ほら、女子ってスイーツは別腹って言うじゃない」


『お前が“女子”とか言うな!てかお前らは適当にラブラブしとけっ!』と俺の心の突っ込みはいい。


俺はどうにもマックスと瑠華の二人の動向が気になって仕方ない。


瑠華の左腕に巻き付いているタトゥーの場所をさりげなく抱き寄せ、同じくマックスの手の甲に描かれた同じ文様のタトゥーが重なった。


それは二人の過去の歴史が物語っていた。きっと今でもマックスは瑠華を―――


まるで『自分のものだ』とも言われてる気がして、その存在を誇示しているようにも見えた。


思わず目を伏せる。


「はぁ、柏木さんあんなイケメンと付き合ってたんですかぁ」


と俺の背後で一人暗すぎる影を背負っている佐々木がカクテルのグラスを両手で持ちながらズーンと気落ち。


桐島は料理の補充に余念がないようで、マリちゃんがそれを手伝っている……のはいいが、マリちゃんはどうやら手際が悪いようだ。グラスや料理を落として、それを片付ける桐島。


「ごめんね、宏くん!」


「いいよ、マリは座ってて」と桐島は暗に『手伝わなくていい』オーラがちょっと漏れている。


カオスだな、ここは。