Fahrenheit -華氏- Ⅱ


リムジンが会場に近づいてきたこと、何となく描いていた地図で頭の中に浮かべ


俺はシャンパングラスを持ったままそれを口に運ぼうとしている瑠華の手をそっと握った。


彼女の手からグラスを抜き取り、テーブルに置き、瑠華が「何ですか?」と言った具合に目を上げる。


俺はそんな瑠華に、やや強引と言える仕草で彼女の頭を引き寄せ、


口づけ。


突然のキスに瑠華は少し驚いていたようだ。


唇を離すと、瑠華がまばたきする度、長い睫毛が俺の頬をくすぐる。


俺はもう一度ほっそりと形の良い顎に手を添え、今度はそっと口づけ。


彼女の柔らかな髪に触れながら、浅く深く―――


瑠華の腕が俺の首に回った。


やがて会場に到着したのかやはり行きのように運転手が恭しく扉を開けて、俺たちがほぼ抱き合う形でキスを交わしていたことに、少し驚いたような運転手が慌てて顔を逸らす。


「くすっ」


瑠華の方が最初に笑った。


「何だか日本(ここ)では恥ずかしいですね」


「うん、でも見せつけてやった」と笑いながら最後、名残惜しそうに瑠華の髪を撫でながらも


俺が先に出て瑠華の手を握り、彼女が降り立つのを手伝う。