ハロウィンパーティー当日。
桐島のツレの店は千葉県の船橋市にあると言う。ちょっと遠いが、渋滞していなければ車で1時間弱でいける。
俺が瑠華を“車”で迎えに行って六本木の瑠華をピックアップする予定で向かう。
時刻は14時半。少し早めに設定したのは渋滞を考慮してのことだ。
「あ、瑠華?着いたよ~」と電話をすると
『分かりました。地下エントランスですか?』との質問に
「いや、正面玄関」と答えた。
『正面玄関?』瑠華はちょっと不服そうだった。
『“この格好”で正面玄関からと言うのは…』用は恥ずかしいと言いたげだ。
「だいじょぶ、大丈夫!」
と変な言い訳で、
『では、いますぐ参ります』との返事にほっ。
俺は、ヴァンパイア設定だったが、流石にマントを羽織る勇気もなく、いつもよりフォーマルなダークカラーのグレーのジャケット、ベスト、スラックスと言うスリーピース。
白いウィングカラーのワイシャツにシルク素材のシルバーグレーのタイとチーフ。タイピンはシルバーの丸い台座にブラックパールをあしらったもの。
その姿で“車体”の前に背を預け立っていると、通行人がざわざわ。
「何?何かの撮影?ドラマとか?」
「すっげぇ、はじめて見た、あんな車」
「かっこいい人!」
と。
う゛~ん…
俺の方も恥ずかしくなって、腕を組みながら思わず額に手をやり顔を隠す。
そんな中、マンションのガラスの扉が静かに開いた。
ちょうど瑠華がタワーマンションから出てくるところで俺は思わず目を開いた。
瑠華は上品なゴールド色のマーメイドロングドレスを見に纏っていた。
ハートラインの胸元から腰に掛けて斜めに細かいプリーツが施されていて、ヒップから下は上質なカーテンのようにふわりと広がる裾。切り替えの場所に上品な薔薇が飾られている。
大きめに巻いたカールの髪はハーフアップにしてあって、ドレスと同じようなデザインのコサージュが品よく位置している。
まるで陶器のような滑らかな白い華奢な肩。適度なボリュームのある胸元。それは決して下品ではなかく、むしろ社交界デビューを果たしたレディーそのもの。
気品があり、気高く―――
美しい。
俺の
お姫様。



