どれぐらいそうやって無言でその光景を眺めていただろう。
やがて陽が傾きはじめて、
「そろそろ行こうか」と俺の方が切り出した。「まだ、海入ってないだろ?泳ぐとかは流石にできないけど、波打ち際なら大丈夫じゃね?」
俺の提案に瑠華は黙って頷いた。
手を取り合って白い砂浜を歩く。
瑠華は上品な色合いのモカブラウンのパンプスを手に素足で、俺もスニーカーと靴下を脱いでついでにパンツの裾もまくり上げ、二人して裸足で歩いた。
後ろを振り返ると、瑠華の小さな足跡と俺の足跡がプライベートデッキから連なっていて…
それをじっと見つめていると
「わっ」
瑠華が小さな声をあげた。思わず瑠華の方を見ると
「冷た…」瑠華が片足を上げ、けれど恐る恐ると言った感じで再び水面に足をいれる。
ちょうど、ゆっくりと陽が落ちるときだった。
淡いオレンジ色の光が水に反射してキラキラときれいだった。
でも、もっときれいなのは
その淡いオレンジの光の中、幻想的に浮かび上がる瑠華の姿だった。
グレージュのニットワンピ、ウェストから上はニット素材で、切り返しのスカートは二重素材になっているのかフレアシルエットで日が当たる度、ほのかに透ける。
その裾や、瑠華の品の良い栗色の髪が風になびき、
「きれいだ」
俺はほとんど無意識で言っていた。



