Fahrenheit -華氏- Ⅱ


裕二がPCを操ると、あの怪しげなサイトの窓とまた別の窓に黒い画面が現れ、裕二はその黒い画面の中、数字やら英字やらをあちこちに入れていきはEnterキーを押すの繰り返しをした。


その後、数分は裕二が何も触らずともどんどん数字と英字は勝手に展開されていく。俺は裕二の横顔を見守った。


裕二は目を細め唇に指をやり


「もう少し…」と呟いたが、


突如、目を開いて慌ただしくキーボードに指を走らせ


「ヤバイ…ヤバイ、ヤバイ!」


ヤバイ、を繰り返して


裕二は突如としてその黒い画面を閉じた。


「な、何…?」


何が起こったのか分からず不安そうに裕二を見ると


「ウィルスだ。軽いヤツだったが、だけど素早い」


「お前のPCには何の影響もないのか?」


「大丈夫だ、威嚇のつもりだろう。害はない」裕二は簡単に言ったけれど


ウィルス―――……こんなことができるのは


やっぱり




心音ちゃん―――?





だけど二村は何でそのIDとPWを入手できたのか。裕二以上に腕の良いエンジニアに頼んだのか?


アイツの人脈が幅広いことは知っている。何も神流グループの本社の人間じゃなくても、幾らでもいるだろう。


そんな思いで裕二のPCを睨んでいると


「柏木さんが関係してるのか」と裕二が聞いてきた。


ギクリ、として背中に汗が伝った。


言えない。


瑠華が不正な取引をして利益を得ようとしている、なんて…


口を噤んで下を向いていると


裕二はまたもため息をつき


「とりあえずは何も聞かない」と一言。「でも、これだけは言っておく。威嚇にしろここまで素早い反応をしたのは相当な腕を持つエンジニアだってことを」


裕二の言葉で80%以上の確立で


このHPの裏サイトを作成したのが心音ちゃんだと言うことが分かった。