不安だけが先走り、あたしはきゅっと胸の辺りで手を握り、あたしの背後で紫利さんが何事か顔を覗かせている。
ポーカーをしながら、心音はあたしたちの計画を紫利さんに喋り聞かせた。
相手が紫利さんとは言え、流石に外部に計画を漏らすのはどうかと思ったけれど、
「大丈夫よ、銀座の女は口が堅いの」と紫利さんはゆるりと微笑む。
まぁ紫利さんは神流グループと何の関係もないけれど。
「いいじゃない、秘密を抱えてるのって辛いわよ?どこかでちょっと漏らすぐらいがいいの。相手によりけりだけどね」
心音はトランプを見ながらさらりと言う。
そう言うもの―――なのか…
自分のカードを見つめて、手札が悪いことに気付いたけれど、顔には出なかったようで、二人とも特にあたしの様子を気にした様子はない。
と言うか、心音はあたしを動揺させてゲームに勝とうとしてるんじゃないかしら、とさえ思えてきた。
どこから用意したのか、ちゃんとチップもある辺り心音らしい。
「でも、大丈夫なの?それこそ失敗したら大変なことになるんじゃない?」
と紫利さんは眉を寄せる。心から心配してくれている様子だ。
紫利さんの左は心音で、紫利さんの言葉に動揺するこはせず、「レイズ、ドロー(※)」と言ってチップを放った。
(※レイズ:前の人よりも多くのチップをかけます。その回で1人1回だけできます。ドロー:自分の手札のいらないカードを山札と交換できます。ドローは1枚~5枚自由にできます)
つまり、心音は失敗はない、と言いたいのだろう。
あたしの手札は…
6のクローバー、8のスペード、Jのクローバー、Qのハート、Kのクローバーだった。
あたしは―――
負けるつもりはない。
Qのハート以外全て捨て、手札を交換した。
二村さん―――あなたはクローバーのキングよ。
スペードのキング、啓には
勝てない。
そしてハートのクイーン、緑川さんはあたしが
守る。
「レイズ」
あたしは自分のチップ全てをずいと押し出した。



