Fahrenheit -華氏- Ⅱ



瑠華は失言をした、と言う感じではなく妙に飄々としていた。


カップに口を付け、コーヒーを一飲みしてから


「そんなに自信がないのですか?自分のモノだと言うシルシがないと不安だ、と」


と目を細めて喧嘩腰でさえいる。


「あー……えーっと…」と背後に居る緑川を見やる二村。緑川が慌てて手を横に振る。




「あ、すみませんでした。お相手が違ったようですね」




さらりと嫌味を言って、言葉以上にサラッと二村と緑川の横を通り抜け、すでに会社の敷地に入っていたワケで、飲みほしたであろうカップを、その敷地内に配置してある大きめのゴミ箱に放り入れる。


「Nice shot.」


と一言言い置いて、会社入口に向かう瑠華。


な、何か良く分からないけど勝った!?


そして瑠華!!かっこいいぜ!!


「そゆうことだ。じゃな」と慌てて彼女の姿を追うことになった俺。


走り出すときにちらりと見えた。緑川の青ざめた顔が。


何故、緑川が青ざめなきゃいけないのか分からない。だってこの場合二股掛けてる二村がぜってぇ悪いだろ!!


おい!緑川っっ!!お前がもっとしっかりしないから、アイツが良い気になってるんだぞ!


と、口パクで緑川を目配せすると、意思が通じたのか緑川が慌てて大きく頷き、俺の後を追ってきた。


瑠華→俺→緑川


の順で社員証のIDをかざし、会社に入ってきたが、その後続いて二村が入ってきた様子はない。


ちょっとは堪えたか?


と思いたい。