Fahrenheit -華氏- Ⅱ


次の日、俺はいつも通り出社して車をいつもの場所に収めると、通りの角を瑠華が曲がっていくところを目撃した。


まぁ、考えたら俺たち出社時間がほぼ同じだからこうゆう状況になってもおかしくないが、でも何故かこういう状況て初めて。


慌てて車を出て走って


「瑠……柏木さん」


呼び止めると、瑠華がゆっくり振り返った。手にはカフェの紙カップと、英字新聞。


そこだけ切り取ると、まるで海外ドラマや映画を見ているような異世界にいる気分になる。それぐらい似合っている。


「おはようございます」


瑠華は丁寧にお辞儀をした。


「おはよ…」


挨拶を交わしているうちに


「おっはよ~ございま~す☆お揃いで~♪」


この声と喋り方…振り向かなくても分かる。


二村……


二村の背後に隠れるようにシロアリ緑川がくっついてて……


「部長、昨日と同じワイシャツですね~朝帰りですかぁ??」と二村はニヤニヤ。


「お前、目ん玉腐ってんの?それとも認知症?」


昨日のスーツはシングルでワイシャツは淡いブルーでネクタイはネイビー、今日は※スリーピース(寒くなってきたからな)グレーのペンシルストライプ柄のジャケットに白いワイシャツ、濃いグレーのレジメンタイ。※ジャケット、ジレ、パンツの三点セットのスーツです。


明らかに違うだろうが。


俺が嫌味を言ってやり、ちらっと後ろに居る緑川を見やると緑川はパッと顏を赤くして益々二村の背後に隠れる。


なるほど…そっちはヤったくちね。


と呆れていると、


「あ!部長キスマーク…」二村が言いかけて


「しません。“私は”そう言った社会的マナー違反はしません」と瑠華がちょっと強い口調で言い切った。


「へ――――……?」


まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顏をしたのは二村で、俺だってきっと同じ顏だったに違いないが。


俺たちの関係、あっさり暴露しちゃう?