Fahrenheit -華氏- Ⅱ



瑠華……どこに行ったんだ…どこに!


何度メールしようか悩んだが、俺は仕事中。それこそ瑠華にメールしたら


“仕事してください”メールが来るに違いない。


そこまで知り尽くしているってのに、瑠華の行動は未だ読めない。


悶々と考えていると、瑠華は十分程で戻ってきて、


しかも手にはグッチのバッグと、コンビニのビニール袋?激しくミスマッチだが、そんなことどーでもいい。


『どこ行ってた!村木に何かされなかったか!』
「早かったね~どこ行ってたの?」


俺の心の中の言葉と現実の言葉。


瑠華は俺たちのデスクの真ん中にそのコンビニの袋を置き、ガサガサと音を鳴らして中のものを取り出した。


それは―――今朝、佐々木が飲んでたスムージー??


しかも三個ある。


その一つを手にとって瑠華はしみじみ。


「ほうれん草とバナナがいかにChemistryして、Hybridになったのかどうしても気になりまして。お二人もどうぞ」


嗚呼……いつもの瑠華だ。


ほっと胸を撫で下ろす。


瑠華はマイペースにストローを刺して、それを両手で包みながらストローを口に含む。


てか何、その可愛い仕草は。


同じことを思っていたのか、ぼーっと佐々木も瑠華の方を見ている。


「三人分、わざわざ柏木さんが買ってくれたんだ、ほら、お前も飲め」


俺は佐々木の視界を遮るようにスムージーをずいと差し出す。


俺も一口飲んで、なる程、結構うまい。と納得。


ケミストリーでハイブリッドだな。(←イマイチ意味が分かっていない)


さりげなく立ち上がって瑠華への視界を遮るように佐々木のデスクを覗き込み、肩を叩き


「良かったな“混ぜるなキケン”じゃなくて」


「それは柏木さんと村木じちょ……」言いかけて佐々木はスムージーと一緒に言葉を飲み込んだ。


まぁ、あの二人は“混ぜるな危険”に値するだろうけど。